ウコンの効能・効果

肝障害予防・肝機能改善、発ガン予防、胆汁の分泌を促す、抗酸化作用、殺菌作用、動脈硬化の予防等
ウコンとは
ウコンは多肉質を持ったショウガ科の多年草で、ショウガ属、ケンフェリァ属、アルピニア属と近縁関係にある植物です。
ウコンは、インド・スリランカ、ネパールなどのヒマヤラ地方、ミヤンマー、タイ、ベトナムやインドネシアなどの熱帯アジアが原産地です。気候区分は熱帯区や亜熱帯区のような高温多湿を好み、雨季に生長期を迎えます。
ウコンは、高さは約50センチメートルから1メートルまで成長し、根茎を黄色染料やカレー粉(ターメリック:Turmeric)の原料として親しまれています。日本名を「ウコン」といい、英語名を「ターメリック」と言います。春に花を咲かせる春ウコン(学名:キョウオウ)や、秋に花を咲かせる秋ウコン(学名:ウコン)、切り口が青みがかかった紫ウコン(ガジュツ)などがあります。
春ウコンと秋ウコンの違いは、主に健康増進に使われるのが春ウコンで、食物着色(たくあん等)や染料によく使われるのが秋ウコンです。しかし、秋ウコンも健康に良い成分があるということで、秋ウコンが見直されつつあり、健康増進にも利用されるようになっています。また、ウコンは抗酸化作用による腐敗防止の役割としても古くから使われてきました。現在では、一般的にウコンと呼んでいるのは、秋ウコンのことを指す事が多いようです。
紫ウコンは、秋ウコン、春ウコンとは違い、色素成分のクルクミンはほとんど含まれていませんが、シネオール、アズレン、カンファといった精油成分を含み、すばらしい芳香が特徴です。
紫ウコンは、漢方では、「芳香性健胃剤」として使用されていて、特に胃潰瘍、十二指腸潰瘍によいとされています。この潰瘍の主な原因とされているのがヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)ですが、胃、十二指腸潰瘍の患者さんに紫ウコンを使ったところ、ピロリ菌が消滅し、潰瘍の再発も見られないといった報告があります。また、血液の浄化、血管や脳細胞の老化防止にも効果があるとされています。血液を浄化することによって肩こりや腰痛の原因物質を取り除いてしまい、痛みも解消してくれます。同じような意味で疲労回復効果もあります。最近ではTVでダイエットに効果がある「究極の食材」として紹介され、注目を集めています。
ウコンに含まれる成分とその効果・効能
ウコンの生薬成分は、ウコンの種類により異なるのはもちろんのこと、生育した地域の土壌に含まれる成分等によって微妙に変化するものです。カルシウムが多い土壌で育ったウコンにはカルシウム含有量が高くなり、痩せた養分の少ない土地で育ったウコンはそれなりに貧弱な成分しか含有しないといったことになります。何事も環境が大切なのは言うまでもありませんが、ウコンもその例外ではないということです。
各ウコンの特長を簡潔に表現すると
- 春ウコン…秋ウコンよりも薬用効果効果は高いとされるが、刺激の強い味で飲みづらい。食用に適さない。
- 秋ウコン…程よい刺激の苦味と特有の香りから食用香辛料等として日常的に食され、穏やかな作用で医食同源を具現化している。
- 紫ウコン…苦味が非常に強いため、食用には適さないが薬効は秋うこんより高いとされる。胃・十二指腸潰瘍や血液の浄化等に効果が確認されている。
- クスリウコン…有効成分「クルクミン」は秋ウコンよりも格段に多く含まれ、さらに亜鉛の含有量も多いようです。インドネシア原産で、現地では健康維持の為に伝統的に愛用されている種類です。
ウコンに含まれる成分とその効能を以下に示しますが、ウコンの種類により多少の差異があります。
成分 | 成分の効能 | |
色素成分 | クルクミン | 肝機能を強化し、胆汁分泌を促進する作用や利尿作用があるため、胆炎などの肝機能障害に有効な成分です。 |
精油成分 | ターメロン | 胆汁の分泌を促進する作用とともに、鮮魚寄生虫アニサキスの成長を抑制する作用があります。 |
シネオール | 胆汁の分泌を促進する作用のほか、健胃作用、殺菌作用、防腐作用などの幅広い効果があります。 | |
クルクメン | 実験的に抗がん作用の強い活性が認められているほか、体内のコレステロールを溶かす役割があり、尿道結石や動脈硬化に有効といわれています。 | |
クルクモール | 実験的に抗がん作用の活性があることが認められており、中国では特に子宮がんの治療に有効であるといわれ、臨床的に用いられています。 | |
エレメン | 実験的に腫瘍に対して増殖を抑える活性が認められています。 | |
パラメチトル イルカピノール |
胆道にある胆汁を排出する作用があります。 | |
フラボノイド (ビタミンP) |
血管壁に直接作用し、もろくなった血管を修復する作用があり、血管に弾力性が出てきます。循環器を中心に認知症の予防、喘息、アトピーなど広範囲に効果を上げています。 | |
アズレン | 炎症や潰瘍を治す作用があり、また胃液中のペプシンの作用を抑える働きがあるといわれています。そのため、アフタ性口内炎や胃・十二指腸潰瘍の治療薬として使われています。 | |
カンファ | 神経を昂奮させる作用があり、強心作用を持っています。 | |
その他 | ミネラル、 ビタミン類 |
リン、鉄、カルシウム、カリウム、マグネシウム、ビタミンC、ビタミンBなどが含まれています。 |
ウコンご利用上の注意点(副作用)
- ウコンはまれに皮膚が痒くなるなどのアレルギー症状や肝障害、胆管障害の副作用が報告されています。肝硬変や胆石のある人は量を控えるか避けたほうが良いようです。
また、もともと肝臓に障害がある人は摂取前に医師に相談した方が良いようです。 - ウコン茶の飲み始めに腹痛や下痢などの消化器症状が出ることがあるようです。
- ウコンの代謝物質が肝臓に負担をかけたり、アレルギー反応を起こす副作用の可能性があるようです。
- 肝臓の働きを高めるとされるウコンの摂取がきっかけとなって、肝硬変の60代女性の症状が悪化し死亡した副作用の事例がありました。
- B型やC型の慢性肝炎患者が肝機能悪化で入院するなど、 ウコン茶摂取後に副作用により肝障害を発症した事例があります。
また、六十代の肝硬変の男性が、ウコン茶をのみ始めた後に肝性脳症で入院。 ウコン茶をやめ食生活を改善すると状態は回復したという報告もあります。 - 厚生労働省新開発食品保健対策室によると「ウコンと肝障害の因果関係に関する研究班の調査報告を待って対応を考えたい。ウコンが原因だったとしても成分が悪いのか、本人の体質や特定の製品の製造方法が要因なのか見極めなければならない」との事です。
- ウコンは胆汁の分泌を活発化、肝臓の働きを良好にしますが、一方で過剰摂取、長期摂取は消化管に障害を起こすことがあり、動物実験では大量摂取が肝臓に毒性を示すと確認されているようです。